NETWORK DESIGN / 03
VLAN・IPアドレスはどう設計する?
ネットワーク分割とアドレス設計の基本
ネットワーク設計シリーズ第3回。VLANとIPアドレスは、端末やサーバーをどのネットワークへ収容し、どこで通信を分けるかを決める基本要素です。本記事では、実際の検証環境で作成した設計書の構成を一般化しながら、VLAN ID、IP Subnet、Gateway、Access / Trunk、用途をどのように整理すると分かりやすいかを解説します。
NETWORK DESIGN SERIES
ネットワーク設計シリーズ
ネットワーク機器の知識を、設計書・構成図・設計項目へ落とし込む方法を整理します。
VLAN・IPアドレス設計とは
VLAN・IPアドレス設計では、ネットワークをどの単位で分割し、それぞれにどのアドレス帯を割り当てるかを決めます。
設計書では、VLAN IDだけを決めるのではなく、用途、IP Subnet、Gateway、Access / Trunkの扱いまで対応づけておくと、構成図や機器設定との関係を追いやすくなります。
User、Management、Server、Transitなど、通信の役割ごとにネットワークを整理します。
VLANごとにSubnetとGatewayを決め、アドレスの重複を避けます。
Access / Trunkや収容先を整理し、L2設計とL3設計をつなげます。
1. まずネットワークの用途を分ける
最初に、「何を同じネットワークへ収容し、何を分離するか」を決めます。用途が決まる前にVLAN番号だけを割り当てると、後から設計意図が分かりにくくなります。
- User Network:PCなど利用者端末を収容するネットワーク
- Management Network:ネットワーク機器の管理用通信を収容するネットワーク
- Server / Service Network:サーバーやサービス用の通信を分離するネットワーク
- Transit Network:ルータやファイアウォールなどL3機器間を接続するネットワーク
2. VLANは「ID・IP・接続方式・用途」で一覧化する
第1回で紹介した設計書では、VLAN ID、IPアドレス、Access / Trunk、用途を同じ表で整理していました。この形式にすると、論理構成とスイッチ設定の対応を確認しやすくなります。
| VLAN ID | Network | 接続方式 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 10 | 192.0.2.0/24 | Access | User Network |
| 20 | 198.51.100.0/24 | Trunk / Transit | Firewall Transit |
| 30 | 203.0.113.0/24 | Access | Management |
公開記事では、IPアドレスはDocumentation用のサンプル値へ置き換えています。実環境では、既存ネットワークとの重複や将来拡張も確認したうえでアドレス帯を決めます。
3. IPアドレスは「Subnet・Gateway・利用範囲」で整理する
IPアドレス設計では、ネットワークアドレスだけでなく、Gatewayや機器・端末へ割り当てる範囲も決めておくと運用しやすくなります。
VLAN 10 / User Network
Network : 192.0.2.0/24
Gateway : 192.0.2.254
Client : 192.0.2.10 - 192.0.2.199
Reserve : 192.0.2.200 - 192.0.2.253
VLAN 30 / Management
Network : 203.0.113.0/24
Gateway : 203.0.113.254
Device : 203.0.113.10 - 203.0.113.99
固定IP、DHCP、将来利用する予約範囲などを分けておくと、機器追加やアドレス払い出し時の衝突を防ぎやすくなります。
4. Gatewayをどこに置くかを決める
各SubnetのGatewayをどの機器が持つかは、通信経路を決める重要な設計項目です。L3スイッチのSVIで終端するのか、ファイアウォールで終端するのかによって、RoutingやSecurity Policyの考え方も変わります。
Network
L3 Interface
Next Hop
設計書では、GatewayのIPアドレスだけでなく、そのGatewayを持つ機器やInterfaceも構成図と対応づけておくと、設定レビューがしやすくなります。
5. Access / Trunkの役割を分ける
VLAN設計をスイッチ設定へ落とし込むために、端末を収容するAccess Portと、複数VLANを通すTrunk Portを整理します。
| 項目 | Access | Trunk |
|---|---|---|
| 主な用途 | PC、サーバー、機器など単一VLANの収容 | Switch間、Firewall接続など複数VLANの運搬 |
| 設計書で確認する情報 | Port、VLAN ID、接続先 | Port、許可VLAN、接続先 |
| レビューの観点 | 正しいVLANへ収容されているか | 必要なVLANだけが通る構成か |
6. Transit Networkと管理ネットワークを分けて考える
ルータやファイアウォール間のTransit Networkは、ユーザー端末を収容するVLANとは目的が異なります。また、Management Networkも業務通信とは分離して設計すると、管理経路を整理しやすくなります。
- Transit NetworkはL3機器間の接続に必要な範囲へ限定する
- Management Networkは管理対象機器と管理元を明確にする
- User / Server用VLANと管理用VLANを混在させない
- 論理構成図とVLAN一覧で同じ名称・IDを使用する
7. 設計レビューで確認するポイント
VLAN・IPアドレス設計は、表だけを見るのではなく、物理構成図・論理構成図と合わせて確認します。
- VLAN IDやSubnetが重複していないか
- 各SubnetのGatewayが明確になっているか
- Access / Trunkの扱いが構成図と一致しているか
- 管理用・ユーザー用・Transit用の役割が分離されているか
- 将来の機器追加やアドレス増加に必要な余地があるか
まとめ
VLAN・IPアドレス設計では、VLAN IDだけでなく、用途、Subnet、Gateway、Access / Trunk、収容先をセットで整理すると、設計意図が伝わりやすくなります。
「用途を決める → VLANを分ける → IPを割り当てる → Gatewayと接続方式を決める」の順で整理すると、論理構成図やスイッチ設定へ落とし込みやすくなります。
次回は、VLAN・IP設計の上位にあるRoutingとSecurity設計を取り上げます。通信経路とFirewall Policyをどのように設計書へ整理するかを見ていきます。
記事について
本記事は、Stractoが保有していたネットワーク検証環境の設計書に含まれるVLAN・IPアドレス設計を基に、公開可能な内容へ一般化して構成しています。