NETWORK BASICS / 01
コアスイッチとは?
役割と基本設定を実際のネットワーク構成から解説
ネットワーク基礎シリーズ第1回。コアスイッチは、アクセススイッチやファイアウォールなどをつなぎ、ネットワークの中心で通信を集約する機器です。本記事では、Stractoの検証環境で使用している構成を一般化しながら、コアスイッチの役割と基本設定を分かりやすく整理します。
NETWORK BASICS SERIES
ネットワーク基礎シリーズ
ネットワークを構成する主要機器を、実際の構成・設定例を交えながら順番に解説します。
(アクセススイッチ)
コアスイッチとは
企業ネットワークや検証環境では、PCや無線アクセスポイントを収容するアクセススイッチ、外部ネットワークとの境界を担うファイアウォールやルータなど、複数のネットワーク機器が使われます。
コアスイッチは、それらの機器やネットワークセグメントを集約し、ネットワーク内部の通信を中継する中心的な役割を持つスイッチです。L3スイッチをコアとして利用する場合は、単なるL2転送だけでなく、VLAN間ルーティングやスタティックルーティングも担当できます。
アクセススイッチ、Firewall、Routerなど複数機器の接続点になります。
VLANを利用し、管理用・利用者用・検証用など用途ごとに分離できます。
L3機能を持つ機器では、SVIやルーティングを使ってセグメント間通信を制御できます。
ネットワークの中でどこに置かれるのか
Stractoの検証環境では、Cisco Catalyst 3750Xをコアスイッチとして配置し、アクセススイッチ、FortiGate、Palo Alto、Juniper製ファイアウォールなどを接続しています。
Firewall
L2 / L3集約
PC / AP / Server
アクセススイッチが端末を収容するのに対し、コアスイッチはネットワーク機器同士を接続し、複数のVLANやセグメントを束ねる位置に置かれます。
アクセススイッチとの違い
| 項目 | コアスイッチ | アクセススイッチ |
|---|---|---|
| 主な役割 | ネットワーク内部の通信を集約 | PCやAPなどの端末を収容 |
| 主な接続先 | Firewall、Router、Switchなど | PC、Server、AP、各種端末など |
| VLAN | 複数VLANを集約することが多い | 端末を用途ごとのVLANへ収容する |
| ルーティング | L3スイッチでは担当する場合がある | L2アクセスが中心の構成も多い |
コアスイッチで必要になる基本設定
実際にコアスイッチを構築する場合は、機器を接続するだけではなく、役割に応じた設定が必要です。Stractoの検証環境では、VLAN、Trunk、SVI、IP Routing、スタティックルート、DHCP、SSH、NTP、Syslog、SNMPなどを設定しています。
- ホスト名・管理IP:機器を識別し、管理ネットワークから接続できるようにする
- VLAN:用途ごとにL2ネットワークを論理分割する
- Access / Trunk:接続先に応じてポートの動作を決める
- SVI:VLANごとのL3インターフェースを作成する
- IP Routing / Static Route:異なるネットワーク間の経路を定義する
- DHCP:VLANごとにIPアドレス、デフォルトゲートウェイ、DNSなどを端末へ配布する
- SSH:管理端末から安全にCLIへ接続する
- NTP:ログや障害解析のため機器の時刻を同期する
- Syslog / SNMP:ログ収集や状態監視を行う
VLANとSVIの設定
VLANは、1台の物理スイッチ上に複数の論理ネットワークを作る仕組みです。Stractoの検証環境でも、管理用、インターネット接続用、開発・検証用など、用途に応じて複数のネットワークを分離しています。
VLANの作成
実際の設定パターンを一般化すると、Cisco IOSでは次のようにVLANを作成します。
vlan 10
name USER-LAN
!
vlan 20
name FIREWALL-LAN
SVIの作成
L3スイッチでVLANのデフォルトゲートウェイを持たせる場合は、SVI(Switch Virtual Interface)を作成します。
ip routing
!
interface Vlan10
description *** USER-LAN ***
ip address 192.0.2.254 255.255.255.0
no shutdown
ip routingを有効化することで、L3スイッチとしてルーティングを行えるようになります。実環境では設計要件に応じて、ACLやFirewall側のポリシーも含めて通信可否を設計します。
DHCPサーバとしての機能
コアスイッチは、L2/L3の集約やルーティングだけでなく、構成によってはDHCPサーバとして動作させることもできます。Stractoの検証環境では、Catalyst 3750X上に複数のDHCPプールを定義し、各VLANの端末へIPアドレスを自動配布しています。
DHCPプールでは、払い出すネットワークに加えて、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバ、リース期間などを指定します。また、DHCPで払い出さないアドレス範囲は、ip dhcp excluded-addressで明示的に除外しています。
ip dhcp excluded-address 192.0.2.50 192.0.2.254
!
ip dhcp pool USER-LAN
network 192.0.2.0 255.255.255.0
default-router 192.0.2.254
dns-server 192.0.2.53
lease infinite
この例では、ip dhcp excluded-addressで固定利用するアドレス範囲を除外し、ip dhcp poolで端末へ配布する情報を定義しています。Stractoの検証環境では複数のネットワークに対して同様のDHCPプールを設定しています。
AccessポートとTrunkポート
Accessポート
Accessポートは、基本的に1つのVLANに所属させるポートです。端末や単一セグメントの機器を接続するときに使用します。
interface GigabitEthernet1/0/10
description *** ACCESS-DEVICE ***
switchport access vlan 10
switchport mode access
switchport nonegotiate
Trunkポート
Trunkポートは、1本のリンク上で複数のVLANを扱うために使用します。スイッチ間接続や、複数VLANを扱うFirewallなどとの接続で利用されます。
interface GigabitEthernet1/0/1
description *** TO-ACCESS-SW ***
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport trunk allowed vlan 10,20
switchport mode trunk
switchport nonegotiate
Stractoの検証環境でも、アクセススイッチ側やFirewall側との接続にTrunkを利用し、通過させるVLANを限定しています。
ルーティングの設定
コアスイッチがL3機能を担当する場合、VLAN間だけでなく外部ネットワークへの経路も定義します。Stractoの検証環境では、動的ルーティングではなくスタティックルーティングを採用しています。
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.0.2.1
ip route 198.51.100.0 255.255.255.0 192.0.2.2
1行目はデフォルトルートの例です。個別に登録されていない宛先への通信を、上位のFirewallやRouterへ転送するように設定します。
管理・監視のための設定
通信を転送できるだけでは運用できません。障害発生時に状態を確認できるよう、管理経路、時刻同期、ログ、監視の仕組みも準備します。
SSHによる管理
ip ssh version 2
!
line vty 0 4
login local
transport input ssh
NTPによる時刻同期
clock timezone JST 9 0
ntp server 192.0.2.10 prefer
Stractoの検証環境ではNTP同期状態は正常で、コアスイッチはネットワーク内のNTPサーバと時刻同期しています。ログの時刻が揃っていることは、障害解析や変更履歴の確認で重要です。
また、Stractoの検証環境ではSyslogとSNMPも設定しています。監視対象や通知方法は環境ごとに異なりますが、コアスイッチのような中心機器ほど「異常を検知できること」まで含めて設計する必要があります。
まとめ
コアスイッチは、アクセススイッチやFirewallなどを接続し、複数のネットワークを束ねる中心的な機器です。L3スイッチを利用する場合は、VLAN間ルーティングや外部ネットワークへの経路制御も担当できます。
最初に押さえておきたいのは、VLAN、Access / Trunk、SVI、ルーティング、DHCP、SSH、NTP、監視といった基本設定です。それぞれの設定を個別に覚えるだけでなく、「ネットワーク全体の中で、この機器に何を担当させるのか」を整理して設計することが重要です。
本記事は「ネットワーク基礎シリーズ」の第1回です。次回は、PCや無線APなどの端末を収容するエッジスイッチ(アクセススイッチ)を取り上げ、その役割と基本設定を解説します。
シリーズでは、このあとルータ、ファイアウォールと続き、ネットワークを構成する主要機器を内側から外側へ順番に整理していきます。
記事について
本記事は、Stractoが保有するネットワーク検証環境の設計書およびCisco Catalyst 3750Xの実機設定ログを基に、公開可能な内容へ一般化・匿名化して構成しています。