NETWORK BASICS / 02
アクセススイッチとは?
役割と基本設定を実際のネットワーク構成から解説
ネットワーク基礎シリーズ第2回。アクセススイッチは、PCやサーバ、無線APなどの端末をネットワークへ収容する、利用者に最も近い位置のスイッチです。本記事では、Stractoの検証環境で実際に使用しているCisco Catalyst 3750Gの設定を一般化・匿名化しながら、コアスイッチとの違いと基本設定を整理します。
NETWORK BASICS SERIES
ネットワーク基礎シリーズ
ネットワークを構成する主要機器を、実際の構成・設定例を交えながら順番に解説します。
アクセススイッチとは
アクセススイッチは、PC、サーバ、無線アクセスポイント、プリンタなどの端末をネットワークへ接続するためのスイッチです。一般的にはネットワークの末端側に配置され、利用者や各種機器が最初に接続するポイントになります。
コアスイッチが複数のネットワークやネットワーク機器を集約するのに対し、アクセススイッチは「端末をどのネットワークへ収容するか」を担うことが主な役割です。
PC、Server、APなどの機器を有線LANへ接続します。
接続ポートごとに適切なVLANへ端末を収容します。
Trunkなどを使い、複数VLANの通信をコアスイッチ側へ転送します。
ネットワークの中でどこに置かれるのか
Stractoの検証環境では、Cisco Catalyst 3750Gをエッジアクセススイッチ、Catalyst 2960Xを監視用アクセススイッチとして使用しています。上位のコアスイッチやファイアウォールと接続し、端末や各種ネットワーク機器を収容する構成です。
Wireless AP
VLAN収容
Network集約
アクセススイッチでは、接続する端末に応じてAccess VLANを設定し、必要に応じて上位スイッチとの接続をTrunkにします。つまり、利用者側のネットワークとコア側のネットワークをつなぐ入口として機能します。
コアスイッチとの違い
| 項目 | アクセススイッチ | コアスイッチ |
|---|---|---|
| 主な役割 | 端末や機器をネットワークへ収容 | 複数のネットワークやスイッチを集約 |
| 主な接続先 | PC、Server、AP、Printerなど | Access Switch、Firewall、Routerなど |
| VLAN | 端末を適切なVLANへ割り当てる | 複数VLANを集約する |
| ルーティング | L2動作を中心にする構成が一般的 | L3スイッチでは担当する場合がある |
アクセススイッチで必要になる基本設定
アクセススイッチでは、端末を正しいネットワークへ収容し、上位スイッチへ安全に通信を渡すための設定が中心になります。
- ホスト名・管理IP:スイッチを識別し、管理ネットワークから接続できるようにする
- VLAN:利用者用、管理用、サーバ用など必要なVLANを作成する
- Accessポート:端末を特定のVLANへ収容する
- Trunkポート:上位スイッチへ複数VLANを転送する
- STP:L2ループを防止し、安定したネットワークを維持する
- 未使用ポート:不要なポートをshutdownし、意図しない接続を防ぐ
- SSH:管理端末からCLIへ安全に接続する
- NTP / Syslog / SNMP:時刻同期、ログ収集、監視を行う
Accessポートの設定
PCや無線APなど、1つのVLANだけを利用する機器を接続する場合はAccessポートを使用します。Stractoの検証環境では、利用者向けポートや無線AP向けポートをVLAN 10、管理系の接続をVLAN 2へ割り当てています。
以下は、実機設定の構成を保ちながらインターフェース名や説明、VLAN用途を公開用に一般化した例です。
interface GigabitEthernet1/0/1
description *** USER-ACCESS ***
switchport access vlan 10
switchport mode access
switchport nonegotiate
switchport access vlanで所属VLANを指定し、switchport mode accessでAccessポートとして固定します。検証環境でも、端末やAPを接続するポートごとに用途に応じたVLANを明示的に設定しています。
上位スイッチとのTrunk接続
アクセススイッチからコアスイッチへVLANの通信を渡す場合はTrunkポートを使用します。検証環境では、コアスイッチ向けの複数ポートを802.1Q Trunkとして構成し、通過させるVLANを明示的に限定しています。
interface GigabitEthernet1/0/21
description *** TO-CORE-SW ***
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport trunk allowed vlan 10
switchport mode trunk
switchport nonegotiate
channel-group 1 mode on
switchport trunk allowed vlanを使うことで、Trunk上を通過させるVLANを限定できます。この構成では、アクセス側からコア側へ必要なVLANだけを転送する設計にしています。
EtherChannelで上位リンクを束ねる
Stractoのアクセススイッチでは、コアスイッチとの接続に4本のGigabit Ethernetを使用し、それらを1つのPort-channelとして束ねています。複数の物理リンクを論理的な1本のリンクとして扱う仕組みがEtherChannelです。
interface Port-channel1
description *** TO-CORE-SW ***
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport trunk allowed vlan 10
switchport mode trunk
switchport nonegotiate
!
interface GigabitEthernet1/0/21
channel-group 1 mode on
!
interface GigabitEthernet1/0/22
channel-group 1 mode on
検証環境ではmode onによる静的EtherChannelを使用しています。構築時は、対向機器側でも同じチャネル構成・VLAN設定になっていることを確認する必要があります。
show etherchannel summaryなどで状態を確認します。STPとL2ループ対策
スイッチを複数台接続する環境では、物理的な接続方法によってL2ループが発生する可能性があります。STP(Spanning Tree Protocol)は、冗長なL2経路を制御し、ループを防ぐための代表的な仕組みです。
検証環境では、STPモードとしてRapid-PVSTを設定しています。
spanning-tree mode rapid-pvst
spanning-tree extend system-id
一方、検証環境固有の設定として一部VLANではSTPを無効化しています。この部分は一般的な推奨設定として掲載せず、実際のネットワークでは冗長経路やループ発生条件を整理したうえでSTP設計を行う必要があります。
未使用ポートの扱い
検証環境では、使用していない多数のインターフェースをshutdownしています。未使用ポートを無効化しておくことで、意図しない端末接続を防ぎ、実際に利用しているポートも把握しやすくなります。
interface GigabitEthernet1/0/4
switchport mode access
shutdown
検証環境のshow interfaces statusでも、未使用ポートはdisabledとして確認できる状態です。
管理・監視のための設定
アクセススイッチもコアスイッチと同様に、管理用IP、時刻同期、ログ収集、監視の設定を用意します。検証環境では管理用VLANにIPアドレスを設定し、NTPの送信元にもそのVLANを利用しています。
interface Vlan2
description *** MANAGEMENT ***
ip address 192.0.2.20 255.255.255.0
!
ip default-gateway 192.0.2.1
!
ntp source Vlan2
ntp server 192.0.2.10 prefer
検証環境ではSyslogサーバへのログ転送とSNMPによる監視も設定しており、NTPも正常に同期しています。障害解析では、スイッチ単体の設定だけでなく「いつ・どのポートで・何が起きたか」を追える状態にしておくことが重要です。
まとめ
アクセススイッチは、PCや無線APなどの端末をネットワークへ収容し、適切なVLANへ接続する役割を持つ機器です。上位のコアスイッチとはTrunkなどで接続し、利用者側の通信をネットワーク全体へ受け渡します。
Access VLAN、Trunk、EtherChannel、STP、未使用ポートの管理、NTP、ログ・監視といった基本設定を押さえることで、安定したアクセスネットワークを構成しやすくなります。
本記事は「ネットワーク基礎シリーズ」の第2回です。次回はルータを取り上げ、異なるネットワーク間の通信やインターネット接続、スタティックルート、デフォルトルートなどの基本を解説します。
記事について
本記事は、Stractoのネットワーク検証環境の設計書およびCisco Catalyst 3750Gの実機設定ログを基に、公開可能な内容へ一般化・匿名化して構成しています。